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2024.12.24

リンクタイズ株式会社取締役/Forbes JAPAN編集長 藤吉雅春様

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リンクタイズ株式会社取締役/Forbes JAPAN編集長藤吉雅春様

【藤吉様プロフィール】
Forbes JAPAN 編集長。著書『福井モデル - 未来は地方から始まる』(文藝春秋)は2015年、新潮ドキュメント賞最終候補作になった。 2016年には韓国語版が発売され、韓国オーマイニュースの書評委員が選ぶ「2016年の本」で1位に。 2017年、韓国出版文化振興院が大学生に推薦する20冊に選ばれた。
他に『ビジネス大変身!ポスト資本主義11社の決断』(文藝春秋)や最新刊に『未来を「編集」する シンクタンクAPIの実験』(実業之日本社)がある。

今年9月に「Forbes JAPAN SMALL GIANTS」のプロジェクトとして札幌市と連携協定を締結されました。 グローバル経済誌でありながら、地域に根差す中小企業に着目したプロジェクトを始めたきっかけを教えてください。

「Forbes JAPAN SMALL GIANTS」とは地域に根差す規模は小さくても偉大な企業や、各地のリーダー・イノベーターを取り上げるプロジェクトです。 私は地方を取材する中で素晴らしい力をもつ中小企業をたくさん見てきました。 これらの企業は下請け構造の問題や中国、韓国の台頭などから、長らく厳しい立場におり、中小企業ということだけで軽んじられることも少なくありません。 2010年頃に、地方の優れた中小企業を海外進出させる外務省のODA支援事業で、ある精米機の製造会社と出会いました。 その会社は技術屋としてのプライドを持ちながら、最貧国の経済を農業で底上げすることに取り組んでおり、海外で本当に感謝されていた。 このような会社こそ日本のメディアが光を当てて取り上げるべきだという忸怩たる思いがこのプロジェクトをスタートさせたきっかけです。 当初はこんなにも長く継続するとは思っていなかったですし、毎年開催しているSMALL GIANTS AWARDのレベルも上がってきており、日本の中小企業の力強さを感じます。 日本の中小企業が非常に高付加価値な製品やサービスを生み出しているということをもっと多くの人に知ってほしいですし、もっとメディアも発信していくべきだと考えています。
Forbesが声を上げ続けて、影響力を持っている人々や同じ思いを持つ仲間を増やしていくことをミッションとしています。

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今回札幌市と連携協定を結びましたが、どのようなことを期待していますか。また、札幌市に対してどのような印象を持たれましたか。

我々はいくつかの地方自治体と連携協定を締結していますが、自治体は各地域にしかない、生の情報を持ち、優れた企業を紹介してくれます。 そうした自治体の支援する企業や人を単に紹介するのではなく、世界を土俵に考えた時の切り口から深掘りしたストーリーで、全国に発信していきたいと思います。 先日、札幌で連携協定を結んだ際、3社ほど地域の企業の紹介を受け、訪問したのですが、どこも面白い企業で付加価値の付け方が上手いと思いました。 行政が優れた民間企業を紹介できるということは、行政と民間の連係ができているからだと思います。
また、地元中小企業に対して、札幌市が集中的な伴走支援とプロモーションを行う「SAPPORO NEXT LEADING」も行政と民間が一緒になって成長を目指す良い取組だと思います。

様々な地方都市を巡られる中で、行政と民間の関わりをどのように捉えられていますか。

やはり地元に寄り添っている方々の視点はさすがだなと思うことが多々あります。 ある企業が業界の中で、日本、世界の中でどれくらい凄いのか、をうまく説明してもらえるのでとても理解を深めることができます。 企業と地域との繋がりは、東京の人間が持ち合わせていない部分です。 地元の歴史や創業のストーリー、関係性など、文脈を理解してアピールしていけるのは、地域に寄り添った視点をもっている行政ならではの強みだと思います。

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官と民が関わっていく中で重要なポイントはどのようなところにあるのでしょうか。

行政と民間事業者が連携する際には、翻訳者の存在が重要ではないかと思います。異なる文化の間を通訳できる人材は、組織内部の様々な人をよく見ていて、地道に働いている方が多い印象を持っています。 実際に違う組織がかみ合う時というのは、経営陣同士だけでなく、担当者レベルでも双方を理解している橋渡し人材がいることで、成功するケースが多いです。
また、今はひとつの組織では生き残れない時代とも言われており、周囲を巻き込む旗振り役の存在が大きいと思っていますが、「言葉」を上手く使って関係者のマインドセットを変えていくことも大事です。 何か物事を伝えていき、浸透させていくうえではネーミング、つまり言葉の力を使っていくのが良いと考えています。 ただ、よく誤解されがちですが、ネーミングといっても、単にキャッチーで雰囲気の良い言葉を作ればいいわけではなく、「結局、自分たちは何をやるために集まっているのか」と存在意義を確認する作業が大切です。 自分たちの目指すものや課題を整理することから始めないと良い言葉は生まれてきません。

 

インタビューを終えて

様々な地方都市を巡られている藤吉様からは、日本を支える魅力的な中小企業や各地のリーダー・イノベーターの存在、行政が地域に寄り添い、理解することの大切さ、 そして異なる組織が連携するときのポイントなどについて、示唆に富んだお話をいただきました。 札幌市はForbes JAPAN SMALL GIANTSとの連携協定を通じ、全国各地のネットワークや情報にアクセスし、世界へと活躍の場を広げていく地元事業者の魅力や官民共創の取組を発信することで、札幌経済の持続的な発展と課題の解決を目指していきます。

 

【関連情報】
●Forbes JAPAN SMALL GIANTSとの連携協定の締結について
https://www4.city.sapporo.jp/scg/case/case-001.html
●NoMaps2024 官民共創セッション「地域が目指す官民共創のまちづくり」開催レポート →https://www4.city.sapporo.jp/scg/topics/report-002.html
●Forbes JAPAN 「官民共創」が拓く地域創生の未来:「NoMaps2024」トークセッションレポート →https://forbesjapan.com/articles/detail/74619
●Forbes JAPAN 地域の経済を盛り上げる、札幌の「ネクストリーディング企業」訪問記 →https://forbesjapan.com/articles/detail/75182

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