REPORT
2024.10.31

STARTUP HOKKAIDO実行委員会 事務局長 藤間恭平様 インタビュー

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STARTUP HOKKAIDO実行委員会 事務局長藤間恭平様

【藤間様プロフィール】
札幌市生まれ。大学卒業後、新聞社に入社し、在籍中の2018年にスタートアップ支援会社の立ち上げに参画。
以降、北海道初のアクセラレータープログラム、札幌市のスタートアップ発掘・支援プロジェクトなど 北海道内のスタートアップ関連プロジェクトに多数参画。
2022年スタートアップエコシステム構築を支援する「DRIVE Incubation」を創業。 2023年に北海道、札幌市、北海道経済産業局らが参画する官民組織「STARTUP HOKKAIDO」の事務局長、(独)中小企業整備機構北海道本部スタートアップアドバイザーに就任。

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「STARTUP HOKKAIDO」の取り組みを教えてください。

「STARTUP HOKKAIDO」は、北海道からグローバルで活躍するスタートアップを生み育てるエコシステムの実現を目指すオール北海道の推進組織です。 札幌市、北海道、北海道経済産業局の3行政、北海道大学等の教育機関、そして私を含む民間・スタートアップのメンバーで構成される実行委員会により運営を行い、スタートアップの創出育成や誘致、エコシステムの構築に向けた活動を行っています。 究極的にはこの組織がなくてもスタートアップが生まれ育って地域に根付くようなエコシステム、文化づくりを目指しています。

なぜ大企業ではなく、スタートアップに着目して活動されているのでしょうか。

スタートアップを支援することで、札幌・北海道がより持続可能で魅力のある都市になると考えているからです。 私たちは、イノベーションが起こることで地域が活気づく、そしてそのイノベーションの源泉はスタートアップにあるという仮説を持っています。 元々札幌・北海道は人を惹きつける魅力がある場所です。 スタートアップが起こすイノベーションによって札幌・北海道のさらなる成長を支援したいと考えています。

長年のご経験の中で、札幌・北海道のスタートアップに関する機運や時代の変化をどのように感じられていますか。

この6年ほどでスタートアップを取り巻く札幌・北海道の環境は、注目度や熱量ともに大きく変化したと思います。 札幌・北海道でのスタートアップ支援の動きは2018年ごろから本格化しましたが、当時はまだ「スタートアップ」という言葉自体が道内では認知されてない状況でした。 しかし、2019年からスタートした「STARTUP CITY SAPPOROプロジェクト」が牽引するかたちで、スタートアップ支援の動きが全道域に広がり、昨年、発展形として「STARTUP HOKKAIDO」が立ち上がりました。 今ではスタートアップを目指す人だけでなく、スタートアップと協業を希望する自治体や企業も増えてきています。

オール北海道体制で「STARTUP HOKKAIDO実行委員会」を設立画像
▲オール北海道体制で「STARTUP HOKKAIDO実行委員会」を設立
出所:STARTUP HOKKAIDO実行委員会 配信リリース

STARTUP HOKKAIDOの活動において大切にしていることは何でしょうか。

スタートアップが生まれるだけでなく、しっかりと育つこと、そしてその効果が地域課題の解決や地元企業の新事業創出などを通じて、地域に還元される好循環を生み出すことが重要と考えています。 そのために自治体や大手企業が、スタートアップを知り、ともに事業に取り組む環境づくりが必要です。
例えば私たちは、道内自治体、企業とスタートアップによるオープンイノベーションプログラム「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」を2020年より展開しています。 この活動の一つの側面として、行政との実績作りを支援することで、まだ十分な信用力や販路を持たないスタートアップの事業成長を支援しています。 スタートアップにとって行政との取組を行い、実績を積むということは、重要な成長方法の一つだと思います。

STARTUP HOKKAIDO実行委員会 配信リリース画像
出所:STARTUP HOKKAIDO実行委員会 配信リリース

「官」と「民」(スタートアップ)が連携や共創を行う際に大切なことは何でしょうか。

「官」と「民」の目線を合わせることが大切ですね。例えばスタートアップは、事業の展開スピードも早く、市場の変化にも柔軟な対応が求められますが、行政は意思決定や手続きなどの連携に必要なプロセスに時間を要することも多いです。 また、行政や大企業が、スタートアップを受託業者のように扱ってしまうことがあります。それではスタートアップの持つ技術や熱意を活かすことができず社会的にも損失となってしまいます。 「対等な立場で共通のゴールを目指す」ということがスタートアップとの共創において大切なことであり、この点は、私たちも意識しながら、マッチングを実施しています。

スタートアップにとって札幌市の魅力はどこにありますか。

札幌市はビジネスを実証する場としてとても良い場所だと思います。 国内マーケットの視点で見ると、札幌は人口も多く、規模の大きい企業が多数ありながらも、コンパクトな都市であるため、顔と顔が見える距離感で、比較的スムーズにビジネスを進めることができるメリットがあると思います。 道内全域で考えても、周辺の自治体で技術的な実証実験を行い、札幌市でそれがビジネスとして成立するかという検証を行うなど、一気通貫のビジネス検証が可能です。 そういう意味で、非常に重要かつ魅力のある都市です。さらに言うなら、より多くの民間事業者の方がオープンイノベーションに取り組めばもっと良い都市になると思います。

最後に、SAPPORO CO-CREATION GATEとの今後の連携についてイメージされていることはありますか?

スタートアップがこれまで以上に官民連携のプロジェクトに参加できるよう、相互送客のようなかたちで連携していきたいですね。 最終的には、札幌・北海道という場がスタートアップのような、起業して間もない企業にとってもっとチャレンジしやすい環境をつくりたいと思っています。 そのような意味でも民間事業者の方から提案を募り、社会課題の解決を目指す「SAPPORO CO-CREATION GATE」とは相互に協力していきたいですね。

インタビューを終えて

「いつか官民で連携することが当たり前になり、わざわざ「官民連携」と言わなくても、課題の解決に向けて両者が自然と連携するようになるといいですね」、インタビュー後の藤間様の言葉が印象に残りました。 札幌市では、SAPPORO CO-CREATION GATEの取組をはじめ、官民の「共創」を通じたまちづくりを推進しています。 民間事業者と行政が同じ目線に立ち協働できる環境をつくっていく必要があると、藤間様のお話を通じて改めて感じました。

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