課題
札幌市では、予約・問い合わせ支援、通院時の通訳、同行通訳の派遣調整を一体的に担う医療通訳コールセンター「メディカルコミュニケーションホットライン」を運営しているが、以下2点の課題を抱えている。
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【課題①】
外国籍市民や外国人観光客の増加による利用件数拡大に伴う、札幌市の費用負担の増加。 -
【課題②】
同行通訳を担う医療通訳ボランティアの人材不足
課題の背景
2020年度に病院の登録制で事業を試行実施したものの、利用が伸びず、制度を見直した。現在は、医療機関の制限がなく、患者(観光客含む)と医療機関の双方が無料で利用できるため、サービスの利便性は大幅に高まった。その結果、利用件数は急増し、医療通訳への強い需要が確認できた一方で、現在の運営体制では事業の持続性が危ぶまれている。
また、高い専門性を要する医療通訳ボランティアについては、人材不足が深刻な状況である。
課題の現状
当サービスの利用件数増加は、札幌市の財政負担を増大させるが、利用者への費用負担を求めることは困難と考えている。なぜならば、札幌市が居住先として外国人に選ばれ、定着してもらうための重要な環境整備と位置付けており、そのための必要経費として考えているためである。医療通訳は、暮らしやすい環境における重要なインフラの一つであり、外国籍市民も日本人市民と同様に公平なサービスを受けられるべきだという考えに基づく。また、言葉の壁がなくなることで、外国人患者の円滑な受診が可能となるほか、医療機関で働く医療スタッフの業務負担も軽減され、その結果受診回転率が上がり、日本人患者の待ち時間が減るなど、すべての患者がスムーズに医療サービスを利用できる環境作りにつながると考える。これらのメリットを勘案し、この事業に継続的に取り組んでいく方針である。
同行通訳の人材不足に対応し、高度に専門的な医療通訳を安定的に提供するためには、ICT等を活用した仕組みの構築が不可欠である。
しかし、札幌市の課題を解決できると想定している以下のサービスを、現状提供している事業者は本市の知る限り見られない。そのため、システムの開発が必要と考えている。
- 患者の端末を通じて、どの医療機関でも利用できること
- 機械翻訳、電話通訳、映像通訳の3種類を用意し、利用者が状況に応じて選択できること
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利用登録がなくてもすぐに利用可能であること
(例:Webフォームからの申し込みに対し、一時的なアカウントやURLを即時に発行)
実現したい未来
AIを活用した機械翻訳や、医療通訳事業者による映像通訳を導入することで、サービスの効率化と持続可能性を高め、増大する医療通訳需要に安定的に応え続ける。この取り組みを通じて、言語や国籍に関係なく、誰もが必要なときに安心して医療を受けられる環境を実現し、言語の壁によって生じる医療格差を解消する。
募集概要
希望する提案の募集期間 | 2025.09.16〜2025.09.30 |
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官民連携に期待する事項 | 医療通訳の実績を持つ民間事業者のノウハウを活用し、当事業の持続可能な再構築に向けたスキームの提案とシステム開発。 |
各部署が想定する解決策の例 |
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各部署が想定する 民間事業者へのメリット |
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各部署が 提供できるリソース等 |
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提案事業者に求める専門性 |
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検討経過・これまでに 実現したことのある施策 |
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想定する事業実施時期 | 2026年度からシステム開発開始、終了次第試行実施 |
提案の選定方法 |
審査による選定等を実施 (提案内容等を審査・選定し、採用数を絞り込む) |
予算措置の可能性 | 提案内容によって予算措置の可能性有 |
募集対象の提案内容 |
官民連携の提案及び連携事業者の募集 (テーマに関する官民連携の提案・アイデア及び連携事業者の両者を募集) |
備考/その他参考情報 |
担当課 | 総務局 国際部 国際課 |
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担当部署の事業の概要 | 多文化共生の推進(外国籍市民の生活相談、日本語学習支援、医療受診サポートなど) |