課題
札幌市では、職員による生成AIの活用が個人作業の範囲に留まっており、組織内での十分な活用に至っていないという課題を抱えています。まずは、行政内部事務を対象にした生成AI活用を模索しており、先行的な取組として旅費事務を対象とした生成AI及びAIエージェントの活用を検討しています。
課題の背景
札幌市では2023年度に生成AI利用ガイドライン群を制定し、全職員が使用できるチャット型生成AI環境を整備しており、2024年度に職員向けの入門研修等を実施しています。
一方で、生成AIの活用が資料要約や誤字チェックなど、個人作業の範囲に留まっており、組織内での活用、展開につながっていないという課題を抱えています。
組織内での生成AI活用の先行的な取組として、旅費事務を対象に実証を行い、旅費事務の効率化・高度化を図るとともに、その他の行政事務への生成AI活用の横展開の足掛かりとすることを検討しています。
課題の現状
今回、生成AI活用の対象とする旅費事務は、主に以下のような手続を行う必要があります。
- 出張行程の決定(経路・宿泊先選定を含む)
- 旅費の計算
- チケット等の購入・予約
- 財務会計システムに入力、出張命令書・支出命令書の決裁
- 旅費の支出(原則口座振替払)
- 出張・報告
- 精算
- 公費の適正支出の観点から経路設定基準や算定基準等が細かく定められており、これら制度の理解不足による誤りやこれに伴う修正の手間が生じている。
- 旅行者が出張命令書の決裁を得るにあたっては、行程表を作成するほかに経路や宿泊先の選定に係る根拠資料(比較資料)を用意する必要があり、事務作業の手間が大きい。
- 庶務経理担当者が出張命令書等の審査を行うにあたっては、上記の行程表や根拠資料等を一つずつ突合して確認する必要があり、事務作業の手間が大きい。
- 多くの部署にとっては年に数回程度しか出張の機会がないため、通常業務の傍らで旅費制度やシステム操作の知識等を習得することの費用対効果が悪い。
実現したい未来
最終的には、出張の条件(旅行者、日程、場所等)を入力すると、AIエージェントにて最適な出張行程の決定から旅費の計算、チケット等の購入・予約、財務会計システムへの入力、出張者の予定表への旅程出力まで一気通貫で自動対応してくれることが理想と考えています。
一方で、段階的に取り組む必要があると考えており、初期段階としては手続の部分的な効率化(例:出張の要件及び本市規則等に基づき、外部サービスと連携して作成した出張行程案の提案)の実現を目指したいと考えています。

募集概要
希望する提案の募集期間 | 2025.07.28~2025.08.31 |
---|---|
官民連携に期待する事項 | 組織内での生成AIの実践的な活用に向けて、生成AI技術の活用に長けた民間事業者のノウハウを活かして、旅費事務を始めとする行政内部事務の効率化・高度化に向けた有効性の検証や課題の洗い出しができることを期待する。 |
各部署が想定する解決策の例 |
「実現したい未来」に掲示した図や以下に示す例のような旅費事務の一部手続を対象にした生成AIの活用。提案は例示の内容に限らないが、本市独自の条例、規則、運用方針等に基づくことを前提とする。
|
各部署が想定する 民間事業者へのメリット |
|
各部署が 提供できるリソース等 |
|
提案事業者に求める専門性 | 組織の固有情報を利用した生成AI技術の活用ノウハウ(旅費事務に関する専門性は不問) |
検討経過・これまでに 実現したことのある施策 |
|
想定する事業実施時期 | 2025年度上半期の着手を想定しているが、提案内容の確認等を経た上で適宜実施(期間については提案内容に応じて相談) |
提案の選定方法 | 特に選定しない (提案内容が妥当であれば採用数を絞込まない) |
予算措置の可能性 |
現時点では提案事業に対する予算措置の予定無 (内容次第で予算要求への反映等の可能性有) |
募集対象の提案内容 |
官民連携の提案及び連携事業者の募集 (テーマに関する官民連携の提案・アイデア及び連携事業者の両者を募集) |
備考/その他参考情報 |
担当課 | デジタル戦略推進局 行政DX推進室 行政DX担当課 |
---|---|
担当部署の事業の概要 | 行政DXの推進(生成AI活用に関すること、行政手続のオンライン化に関すること等) |