〝宇宙は身近〟を実現するために創業
宇宙開発というと国の大型プロジェクトでやっていると思われがちですが、私たちはスタートアップ企業です。
アメリカの民間航空宇宙メーカー、スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(通称スペースX)が20年ほど前に宇宙開発を始めたのをきっかけに、民間企業の参入が少しずつ増えてきています。
そのような中で私たちは、ロケットエンジンを開発して販売するビジネスを目指しています。なぜこのような会社を作ったのかというと、私は子どもの頃から宇宙が大好きで、宇宙飛行士の採用試験に応募したこともあるほど。大学では工学部, 航空宇宙工学科に在席し、「宇宙は身近」「宇宙時代がもうすぐ来る」と聞かされてきました。
でも待てど暮らせど全く来ない。「純粋な大学生をだましたな!」という熱量で私が宇宙を身近にするぞと会社を作ったのですが、実際にやってみると大変なことばかりでした。今は文句を言ってすみませんと謝りたい気持ちです。
〝ミヨルニア入ってる〟!? 存在感のある会社に
弊社のハイブリッドエンジンは、北海道大学の永田晴紀研究室で長年研究されていたものです。固体プラスチック燃料は爆発する危険性が低く、なおかつ扱いやすいのが特徴です。
無溶接タンクは、溶接による継ぎ目がないため、品質が安定します。
これらの組み合わせで、ハイブリットエンジンの安全性、低コストを実現し、ロケットを自動車のように大量生産できるようになると考えています。
現在商用化のために一歩一歩着実に歩みを進めており、最初の販売は2025年頃を目標としています。
宇宙開発には膨大な費用が必要なため、弊社は昨年ベンチャーキャピタル(投資会社)から投資いただき、上場を目指しています。
しかしながらエンジニアばかりの会社なので上場のことには詳しくなく、サポートいただきたくて今回の事業に応募しました。
夢は弊社のエンジンが、世界中のロケットメーカーで使われることです。パソコンのCPUはある時期インテル一社が独占していたように〝ミヨルニア入ってる〟ロケットがたくさんあるような、存在感のある会社を目指しています。
研究者に大事なのは、想像力
私の本業は大学教員で研究者なのですが、研究において最も大事なことは、頭のよしあしや技術というよりも、想像力だと思っています。宇宙産業の発展には時間を要しますが、来るべき未来を想像して、北海道で事業を成功に導いていきたいです。
北海道で宇宙産業に関わる人材創出の力になりたい
「私たちの技術はもともと北海道大学で生まれたものですので、北海道で会社を大きくしていくのが社会に対する責任だと思っています」と米倉さん。
「北海道は宇宙産業に関わる企業が多いので、人材創出の力になれたら」と、北海道大学発祥の企業ということもあり、教育という形を通して地域貢献をしたいという思いも聞かせてくれました。