代表インタビュー

星川 尚久氏の写真
大熊ダイヤモンドデバイス株式会社上場支援コース
代表取締役 星川 尚久
次の成長産業をリード。
ダイヤモンド半導体で
ゲームチェンジャーに

COMPANY PROFILE

大熊ダイヤモンドデバイス株式会社で開発しているダイヤモンド半導体は、優れた特性を備える次世代半導体です。世界では日本の研究が最も進んでおり、北海道では同社でしか行われていません。
2026年から2027年に予定されている実用化は、半導体市場のゲームチェンジャーになりうる可能性を秘めています。

ダイヤモンド半導体の実用化に挑戦

これまでの半導体材料はシリコン(ケイ素)でしたが、元素周期表でケイ素の上にあるのは炭素です。つまりダイヤモンド(炭素)も半導体材料としては適正が高く、シリコンでは難しかった高温環境や放射線環境への耐久力も格段に優れています。

そのような理由から、ダイヤモンド半導体は究極の半導体といわれていますが、開発が難しくまだ実用化には至っていません。それに挑戦しているのが2022年に創業した弊社です。これから工場を作って、2026年度の実用化を目指しています。ITの発達により、さらに耐久性の高い半導体が求められていますが、従来の半導体材料は活用可能な範囲が限られてしまいます。その打開策としてダイヤモンド半導体を用いることで、次の成長産業にも貢献できると思っています。

写真1

ダイヤモンドトランジスタアレイ

写真2

世界初となるダイヤモンド半導体工場のイメージ

これは責任。誰かがやらなくてはいけない

起業家としてこの事業に取り組む契機となったのは、福島第一原子力発電所の事故でした。
廃炉を安全に行うためには、原発内という地球上で最も過酷な環境に耐えられるアナログデバイスが必要です。これはダイヤモンド半導体がなければつくれないもの。
私はこのダイヤモンド半導体の開発が、半導体のゲームチェンジになる事業になると確信し、その第一人者である北海道大学金子研究室の金子純一先生に、製品化まで伴走することを約束しました。そしてそれまで経営していた会社を譲渡し、起業家のキャリアを潰すこともいとわずフルコミット。7年間、無報酬で知識や技術を学び、また信頼関係も深めました。

このような行動を取ったのは、原発が稼働する限り誰かがやらないといけない、という責任感からです。少なくとも、人が入るところに関しては万全の安全対策をとりたい。そこまでやらないと震災から得た教訓を活かすことができません。

先人の知恵をなかったことにするのではなく、起きたことに向き合って解決する産業をつくるところまでやって、やっと乗り越えられるのではないでしょうか。

上場はそのための資金調達の手段です。半導体開発は莫大な資金が必要な事業ですので。

写真3

世界初の、能動負荷を用いた差動増幅回路試作品

大熊じゃないと作れないと言われるまで

私は大学生の時に会社を作る目標を持ち、様々な仕事をして経験を積み、起業してからも複数のことに挑戦する気持ちで取り組んできました。

世界中で研究が進んでいるダイヤモンド半導体ですが、日本が1番研究が進んでおり、北海道の中では弊社だけが研究を行い、実用化に向けて量産化の実現に挑戦しています。

ダイヤモンド半導体は、同じく過酷環境である宇宙空間への応用など、次世代半導体としての多様な活躍が期待できます。人類の歴史を変えるかもしれない仕事として、非常にやりがいを感じています。
「ダイヤモンド半導体は大熊ダイヤモンドデバイスでないと作れない」と多くの人に認めてもらえるレベルまで、事業を伸ばしていきたいです。

写真4

札幌の基幹産業に成長していきたい

時間もお金もかかる大変な事業ですが、私は子どもの頃から長く空手を習っていたせいか、気合いだけはありました。しかも師匠から「1位以外に価値はない。昔の勝負では負けは死だ」と教わっていたんです(笑)。ですから心のどこかで「1番じゃないといけない」という思いがありましたので、ちょっとやそっとで引くくらいなら最初から手は出しません。

「私自身が札幌生まれの札幌育ちですので、継続して努力を続け、弊社が札幌の基幹産業となれたらうれしい」と星川代表は語ります。

廃炉事業の実用化のあとは、その技術を持って、宇宙産業や通信産業といった次の成長産業をリードしたいと夢を語ってくれました。