取材を受けた新聞記事に引き上げてもらって
上場を決意したきっかけは、新聞の取材を受けたことでした。弊社で開発した会員証アプリについての取材だったのですが、最後に記者さんから「IPOは考えていますか」と聞かれて、深く考えずに「そうですね」と答えてしまい、それが記事になりました。
確かに上場には興味があって、知り合いの社長に話を聞いたり独学で勉強したりしていましたが、まだ実力不足だと感じて踏みとどまっていました。それが記事を読んだいろいろな方からレスポンスをいただき、弊社に期待してくださっている方がこんなにいるんだと驚いて。経営者は自分自身や社員だけでなく、社外の方、社会への責任があります。それで決めました。新聞記事に、引き上げてもらった感じです。
上場後も本社はずっと札幌に
上場の目的は3つあります。
まず株式市場からの資金調達。利益のほとんどは人材採用や教育に投資しているので、それをもっと大規模で行いたい。
ふたつめは与信の獲得。会社が大きくなくても信用を得るには、上場は大きな力になります。
そして最後は人材獲得。就職する側としては、会社の知名度や上場しているかどうかは気になりますよね。上場すれば、優秀な人材にもアプローチしやすくなるはずです。
ただ、どんなに会社が大きくなっても、ずっと札幌に本社を置くつもりです。
というのも札幌はITに関して、1970年代のパソコン黎明期から先進的に取り組んでおり、サッポロバレーといわれているほどにブランド力があります。
私自身がそのような環境で札幌本社のベンチャー企業に育てていただいたので、お返ししたいし、次の世代のみなさんにもそのような場を作ってあげたいという気持ちもあります。
もっと札幌に人や産業を集めたい
ゆくゆくは札幌で1番のIT企業になることを目指しています。
IT業界のエンジニアは下請けで安く叩かれているというイメージがあるので、それを払拭し、技術も料金もあげていけたら、札幌に人や産業が集まることにつながると思います。
図々しくも「1番に」と声に出していますが、シェア何%をとるという目標よりシンプルでわかりやすいからです。
社内的にも、1番になるならこういう仕事をしないとって考えやすく、それに何より1番を目指すって気持ちがいいと思うのです。

優秀な人材が札幌に残れる可能性を増やしたい
北海道大学の学生の半分は北海道外に就職するといわれていますが、「もし札幌にいい会社があれば、残ってもらえる可能性も出てきますよね」と西嶋さん。
「僭越ながら優秀な人たちの受け皿にもなっていきたい」と頼もしい言葉を聞かせてくれました。