代表インタビュー

土井 尚人氏の写真
株式会社イーベック 上場支援コース
代表取締役社長 土井 尚人
札幌発のバイオ研究が
世界の80億人の命を救い
北海道経済に元気を与える。

COMPANY PROFILE

イーベックは、北海道大学遺伝子病制御研究所名誉教授高田賢蔵氏が持つ「EBウイルスを利用したヒト抗体産生技術」の実用化を目指して、2003年に設立。日本のバイオベンチャーでは初めて、海外大手製薬企業との大型契約を実現。
さらに、道内外の企業、大学、研究所等との共同研究を積極的に進め、治療薬や検査薬用抗体の開発にも取り組んでいます。

札幌で地道に積み上げた研究が、時を経て世界レベルの成果になる

医学が進んだ今なお、難治の病気が数多くあります。私たちは病に苦しむ方々と治療にあたる医療関係者、国内外の製薬企業と共に育ち、世界の80億人の命を救うことを目指して邁進しています。

私たちが作製した安全性の高い抗体によって、難治の病に苦しむ人々を救える新薬ができた時の喜びに勝るものはありません。札幌の研究所でコツコツと積み上げてきた仕事が、時を経て世界レベルの成果になる。それこそが、私たちの仕事の大きなやりがいだと感じています。また、それによって札幌にもたらされる経済効果も大きなものになるでしょう。

世の中の役に立ちながら、地域経済をも潤すことができる。これも、私たちの研究を前に進める原動力になっています。

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抗体の研究中の様子

株式上場で得た資金で世界をパンデミックから救う

私たちはヒト末梢血からヒトモノクローナル抗体を作製する技術を活用し、さまざまな治療用抗体を作製してきました。
近年、世界規模の活発な人流により新興・再興感染症であるデング熱、SARSのように、パンデミックを起こしかねない重篤な症状を呈する感染症に対応する防御用抗体の開発が、急務となっています。しかし、抗体医薬開発には膨大なコストがかかり、弊社の約10億円の資本金をもってしても足りません。

この札幌未来牽引企業創出事業が研究資金調達の一助になると判断し、上場支援コースに応募しました。また、参加企業に連なることで私たちの取り組みが一般に広く認知され、さらに札幌に優秀なスペシャリストを集める大きな力にもなると期待しています。

写真2

地球上の全ての人を感染症から守るために抗体バンクをつくりたい

今後も志を共有できるパートナーを増やしながら、共に「抗体医薬」を世に送り出していきたい。さらに、国内外の病院と協働しながら、地球上のさまざまな感染症に対応できる「抗体バンク」を確立したいと考えています。これは感染症にかかり完治した方の血液から抗体を採取してストックしておくものです。日本には少ないデング熱のような感染症が万が一、パンデミックになった時にも、抗体バンクがあればすぐに治療薬をつくることができます。先行して開発している移植手術時の感染症予防抗体の拡充にも役立ちます。

将来的には、この「抗体バンク」にストックされた抗体によって感染症に加えて自己免疫疾患などの病気にも対応する新薬ができるかもしれません。その夢につながる新しい扉をITに強い札幌から開き、抗体のデータベースを作っていきたいと思っています。

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抽出したデータをもとに分析中の様子

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抗体研究中の様子

札幌に優秀な研究者が力を発揮できる環境を作る

「製薬関連企業の研究施設が少ない札幌では、専門性の高いキャリアを持つ地元人材やUターン・Iターン人材の活躍の場が少なかった。弊社はそうした人材がのびのびと力を発揮できる場を用意しています。特に女性社員が多く活躍しています。
自然豊かな地に建つラボで重ねた研究から新薬が生まれる達成感、多くの患者さんに笑顔をもたらす喜びをいつの日か味わってほしいと思っています」と、土井社長は話します。

その研究成果は今後、他都府県、海外との取引額において大きな赤字を抱える北海道の経済に大きな恩恵をもたらすことが期待されます。さらに札幌が“抗体医薬”開発の先進地となることで、世界からも注目される最先端医療の街へと成長する可能性を秘めています。

「パソコンのCPUといえばインテルといわれるように、抗体医薬といえばイーベックといわれるのも夢ではありません」。