クラウド型の受発注管理サービスで企業のDX化を加速
北海道の食品流通・物流業界では、企業間で行われる商品の受発注の管理に、各企業独自のシステムを使うことがほとんどです。その時に生じる手間や不具合を解決する手段として開発したのが、企業間の管理システムを仲介するサービス「クラウドEDI」。
これを間に入れることで、デジタル上でのスムーズな企業間取引が可能になります。
スーパーマーケットチェーンなどの大手は、取り扱い商品が多いため早くからこのような情報処理サービスを活用していましたが、小規模企業はそこに投資ができず、メールやファクスで頑張らねばならない状況でした。
しかし弊社の「クラウドEDI」サービスは昨今主流のクラウド型なので、ソフトウェアのインストールは不要。インターネット環境さえあれば使うことができ、さらにスマホでの操作も簡単です。
物を買う必要がなく初期費用もかからないことから、多くの企業に導入していただき、DX化に貢献できたと思っています。
北海道から全国・海外展開を視野に上場を目指す
上場支援コースに応募したのは、今後の当社の広域展開に「上場」が有用だと考えたからです。
北海道の食品流通・物流業界での情報処理サービスの活用は、私たちのような企業が早い時期から取り組んでいるので、全国的に見るととても進んでいます。
その一方で、地方の他県ではまだこれから、さらに活用できる余地があると思います。上場することで知名度をあげて、全国展開していきたいと考えています。
また〝広域〟には海外も含んでいます。というのも私自身、地域内や国内で諸先輩のあとを引き継ぐ事業を中心にするよりも、自分たちのものづくりで海外の市場を開拓し、日本の価値を広めていく方が性に合っている気がしています。既にベトナムのホーチミンに拠点を置き、現地ベトナム人社員によるIT開発と北海道産の食品を輸入して現地で販売もしています。これらは、日系企業が海外ビジネスを展開するために必要となる輸出入とシステム構築の実証をするためです。
日本の多くの地域企業の海外ビジネスに、この取り組みがお役に立てれば光栄です。
社会貢献できる志を大切にしたい
これまで勤務していた会社で、北海道を中心とした観光や食に関わる企業のシステム開発に従事していた私は、北海道のすべてが豊かになるには、どのような事業を行うべきか模索してきました。
約20年前、独立する時最初に考えたことは、自分たちがつくるシステムで収益が出せるかどうかということでした。結局、答えが出ることはなく、ではなぜ起業に踏み切ったのかというと、北海道や札幌に貢献できるかもしれない事業を志してうまくいかなかったとしても、志したことで納得できると思ったからです。
タイミング良く札幌市の起業支援を受け、インターネット接続をするサーバー環境を格安で使用させていただける、札幌市産業振興センターのスタートアッププロジェクトルームを活用しました。
”データセンターに共同利用型の業務システムを置くことで、利用者は、個別でシステムや設備を購入して維持管理すること無く、利用料金を頂くモデルで、サービスを安く皆さまに利用していただく。”ということが創業の意義でした。
試行錯誤しながら、一から自分たちで仕組みを構築していく中で、利用してくださるお客様の感謝の言葉が、今も変わらず最大の喜びとなっています。
納得のいく一手の積み重ね
札幌はもちろん北海道全体の生産者と消費者の豊かな暮らしに貢献することが、同社の掲げる理念です。
新山さんは、「会社は地域や社会に貢献をしていくことが存在意義。
上場後も、ものづくりの企業として、自分たちがつくった仕組みで、多くの人の利便性や豊さに寄与していきたい。
上場することで得られる一時的な信用や資金を、どう活かしていくかが問われるので札幌未来牽引企業創出事業の力をかりられることが、大変ありがたく頼りにしています。
これからもグローカルな企業を目指して、納得のいく一手を積み重ねていきたいです。」と責任感をにじませました。