代表インタビュー

近藤 篤祐氏の写真
モリタ株式会社付加価値向上コース
代表取締役 近藤 篤祐
地域に求められる、
世界に認められる
札幌の町工場でありたい。

COMPANY PROFILE

モリタは1932年創業、札幌市で歴史を重ねる紙箱の製造会社。独自の製法、Vカットを生かした造形に高い意匠性を加えた紙箱は、道内の一次産品やスイーツ、お酒などのパッケージに多く用いられています。
「お客様も、つくり手も、自慢できるハコをつくる」をモットーに作られる、クラフト感のある紙箱は道外からも注目され、全国各地から新規の製作依頼が増えています。

商品のブランド力を高める最高の衣装を作りたい

私たちの会社では、地域のグラフィックデザイナーと協働しながら、年間1000種類以上の紙箱を作っています。北海道はデザイナーやクリエイターが多い土地で、その中でも首都札幌はデザイナーとタッグを組みやすい、恵まれた環境です。

一つひとつの箱が、その商品の価値をより良く伝えながら、商品が壊れないように保護する役割も果たさなければいけません。その狙いが十二分に果たされた時に、商品のブランド性もぐっと高まり、それが成果としてきちんと売上にも表れてきます。

商品によっては雑誌やSNSにも取り上げられ、大きな話題にもなります。制作に関わったスタッフが、全国のイベントに出て直接良い評価を貰える機会もあります。そうした目に見える成果の積み重ねが、若い人たちの大きなやりがいにつながっていくのだと感じています。

社員と話し合って生まれた「お客様も、つくり手も、自慢できるハコをつくる」という会社のビジョンも、それをよく表していると思います。

写真1
写真2
積丹スピリット:北海道・積丹の醸造所でつくられるクラフトジンの専用ボックス
写真3
男山(旭川): 純米大吟醸の日本酒(720ml瓶)を入れる、六角柱のVカットボックス
写真4
高い技術が必要とされる、スライドの箱:アクセサリーボックス

欧米市場で販路開拓を進め日本の紙の魅力を伝えたい

これからの紙箱文化の持続可能な未来を考えた時、日本に良い製品を作る会社があることを世界に知ってもらうことも大切です。

そこで、さっぽろ産業振興財団から海外展開のアドバイス支援を受けて2023年秋にオランダの展示会に自社製品を出品しました。私たちが手掛けるVカットボックスという製法は、品質、デザイン性が高く、クラフト感があると高い評価を受けました。サスティナブルであることが重要と考える欧米社会で、紙という素材はまだまだ無限の可能性を秘めていると感じます。今後も日本的な素材、和紙などを用いて品質の高い紙パッケージの魅力を知ってもらい、欧米での販路拡大を狙っていきます。

また、海外へ輸出されるブランド力のある日本商品のパッケージにも採用され、商品の魅力を伝えるパートナーとして仕事をしていきたい。 その先に、新しいビジネスチャンスが得られると期待しています。

写真5
2023年9月のオランダでの展示会

モノづくりを愛する多様な人が、いきいきと働ける場所を提供したい

私たちはいつも、心からモノづくりが好きな人に会社で働いてほしいと願っています。

その入口として、大学生のインターンシップの受け入れも積極的に行っていますし、最近では展示会やSNSから弊社を知って入社を希望する方も増えています。
入社後、副業制度を設けています。オリジナルの箱づくりやペーパークラフトづくりを楽しみ、イベントなどで販売する社員もいます。

私が代表に就任してから数年かけて、社員同士の意見交換がしやすく風通しのよい環境づくりに取り組んできました。

モノづくりを支え、楽しむ弊社ならではの労働システムもまた、札幌市の雇用に貢献していると自負しています。

また、弊社のモノづくりを支えている大切な仲間には、先代社長の時代から工場で働いてくれているキャリア10年から20年の知的障がいの方々もいます。
単純作業を継続して行う力などは健常者よりも数段優れた能力を持っており、得意を活かして活躍しています。

箱の仕上げ加工についても、市内10数カ所の福祉事業所などに協力していただいています。
私たちは継続した仕事の場と適正な外注単価を維持できるよう、常に経営努力を重ねています。

写真6
紙の厚みやデザインにより繊細な調整を行いながら加工を行う
写真7
紙箱のファンづくりの一環として、2024年2月の東京ギフトショーでの展示
写真8
箱のデザイン展HAKOMART

創業100年に向けてステップアップするために

かつて身近にあった木箱は「事業承継できずに廃業する企業もあり、われわれ紙箱の業界も他人事ではない」と近藤社長は話します。紙の魅力を生かした箱文化を後世に残していくためには、後継者育成が喫緊の課題です。

今回、モリタが札幌未来牽引企業創出事業に応募した大きな理由の一つが、後継者育成と社内強化を進めるための「キャリアプラン」づくりでした。

「これから一緒に働く若い人たちが20年後にどういうプロになっているのか。その道筋を明らかにするシステムづくりをしたい。
またさらに広く、多くの人に求められる企業になるために、紙箱のファンをより増やす必要性も痛感しています。そのために、実際にモノづくりの現場に触れられるオープンファクトリーのような仕掛けづくりも検討しています。
見て、触れて、心躍る紙箱で地域の町工場文化を盛り立てたい。そして、札幌が新潟・燕三条みたいに、元気なモノづくり企業が集う街になるといいですね」と、近藤社長は力強く語ってくれました。

企業ロゴの画像
モリタ株式会社
  • 紙器(紙箱パッケージ、ギフトボックス)の製造販売
  • パッケージデザイン企画
  • 紙製雑貨の企画製造販売
設立年:1955年
社員数:26名