札幌の学校を卒業した生徒の受け皿に
エンジニアとしてベンチャー企業やフリーランスで働いた後、2007年に法人化しました。
当時は就職氷河期でエンジニアの勤め先がなかったので、彼らの就職先を作りたいという思いが起業の理由でした。札幌の学校を卒業し、北海道が好きでここで働きたいのに、7~8割の人が就職先を求めて東京に行くしかない。そんな優秀な人材をたくさん見ていたので。
事業の中心はスマートフォン・パソコンのゲームとVRの開発です。
近年では一つのゲームを作るために3年かかることも多いため、常に十数本のゲームを同時進行で制作しています。
ゲームは作って終わりではなく、継続して運営運用する必要があるため、スタッフや取引先企業と長い付き合いになることも多くあります。
みんなが楽しむものを作る仕事なので、作っている側にも楽しさがあります。企業の業務に使うようなシステム開発と比べて、エンドユーザーの反応がダイレクトに感じられるのも醍醐味。例えばゲームの新バージョンをリリースしたというニュースをSNSなどで発信すると、ネット界隈がざわっと盛り上がる(笑)そんな様子を見ることができるのが、働くモチベーションにもつながります。
またVRのような先進的な技術にチャレンジしていけるのも、私たちの仕事ならではだと思います。
唯一無二で面白いものを作っていきたい
札幌未来牽引企業創出事業の付加価値向上コースの活用に際して考えているのは、営業利益をただ1.2倍にするなどの規模拡大だけでなく、オリジナルのゲームやサービスなど、何かユニークなもの、唯一無二の面白いものを作っていきたいということ。
賃金や事業内容では東京本社の大企業に勝てないので、何かをとがらせることで付加価値を高めていけたら。制作物だけでなく住環境や働きやすさなども含め、全体的な付加価値を上げていきたいですね。どう上げていくのかをじっくり検証していくために、札幌未来牽引企業創出事業はとても有り難い。いい事業だと感じています。
規模が大きくなっても、本社は変わらず札幌に
北海道にいると、どうしても東京進出を意識しがちですが、私たちは東京ではなく海外や地方都市への進出を考えています。海外に関しては、今実際に欧州の会社と仕事をしているので、このような機会を増やしていきたい。
日本のゲームを海外に出すには、その国に合わせてカルチャライズしなくてはなりません。
各国の需要を探るために、中長期的には外国人雇用も増やすことも考えています。
地方都市への進出は、既にある仙台支店が最初です。札幌と同じで、学校は複数あるのに就職先がなかったので作りました。これがそもそもの創業の思いですから、ぶれずに他の地方都市の開拓も進めていく予定です。
将来的にさらに規模が大きくなっても、本社は変わらず札幌に置く予定です。
札幌に進出したけれどすぐ撤退する企業も多いですが、そこで働く人はどうなるのだろうと考えてしまいます。
私たちは撤退する先もありませんし安定した雇用を続けていきます。そのように地元札幌に貢献できる企業でありたいと思っています。
創業時の思いを見失うことなく規模拡大
「地元の学生をアルバイト雇用し、そのまま新卒で就職してもらって、さらに教育して優秀な人材を育てる。それが地場産業である私たちの役目だと思っています」と松井会長。
日ごろから地元専門学校の先生とも連携をして、イベントのサポートなども行っており、継続した関係性の構築がリクルート活動にも繋がっています。
住みやすさなど札幌の総合的な魅力に加えて、自社のとがったユニークな事業を武器に、「東京の企業と比較してもらえるような企業に成長していきたい」と力を込めます。